睡眠時間の最適解は?自分にとって最適な睡眠時間の見つけ方と、睡眠時間の大切さについて解説!

最近あまり寝れていなくて、日中に眠くなることが多いな…。そう思うことは誰しも一度は経験があると思います。寝不足を自覚していても、それは当たり前!みたいに割り切ってしまっている人もいるのではないでしょうか。

寝不足とは、簡単にいうと睡眠が不足している状態(睡眠不足)であり、それによる様々な影響が問題視されますが、そもそも十分な睡眠ってどれくらい?と思う方もいるでしょう。

実は必要な睡眠時間には個人差はあれど、推奨されている睡眠時間はある程度世界各国でも提唱されています。それを知ると「意外とそんなに必要なんだ。」と驚かれる方も多いです。この記事では推奨されている必要睡眠時間から、睡眠時間が足りないことにおけるデメリット、世界との比較、すべき行動や思考などを解説します。

そもそも、「睡眠時間」とは?就床時間との違いも説明

睡眠時間はどのくらい眠っていたか。

さて、「睡眠時間」とはなんでしょうか。とてもシンプルな質問ですが、どのくらい確実に答えられるでしょうか?

ほとんどの方は間違いないと思いますが、睡眠時間とは「眠っている時間」つまりは睡眠をとっている時間です。というのも、これを就床時間と混同して考えてしまうと、睡眠の問題などに繋がってしまう可能性があります。就床時間とは寝床(ベッドや布団)にいる時間です。例えば、必要睡眠時間が7時間だとして、7時間ベッドにいても寝付くまでの時間や、寝床の中で睡眠以外のことに時間を費やしてしまうようであれば、睡眠時間は7時間確保できていないことになります。

睡眠効率が低いと睡眠の質が悪い?

この睡眠時間に関して、一つ重要な指標が「睡眠効率」と呼ばれるものです。睡眠効率とは簡単にいうと「寝床の中で実際に眠っていた割合」です。これが低いと様々な睡眠の問題と紐づいてしまうため、客観的な睡眠の質の指標の一つと考えても良いでしょう。睡眠時間を延ばすには、この睡眠効率も同様に頭に入れておかないと、寝床にいる時間だけが長くなってしまい、睡眠効率の低下、いわゆる睡眠の質の低下につながってしまいます。これは特に年齢を重ねるごとに注意が必要です。

「昔はこれぐらい眠れていた!」と眠れないのに布団の中にいると、不眠に繋がってしまいます。これは睡眠時間を確保しているとは言わず、単に就床時間だけが増え、睡眠効率は低下している状態となります。

睡眠効率の計算式
睡眠効率 (%) =
実際に眠っていた時間
寝床にいた時間
× 100

睡眠時間の増やし方と注意点

つまり、睡眠時間を増やすときには単に就床時間を長くすれば良いという問題ではありません。睡眠効率を高く、もしくは維持しながら睡眠時間を増やす必要があるというわけです。

このような説明だと、少し用心深くなってしまうかもしれませんが、現時点で不眠傾向があまりなく、むしろどこでも眠れるという方や睡眠時間が短い方は気にせず寝床にいる時間を延ばすことをしても良いでしょう。ただ、寝床にいる時間=睡眠をする時間という前提で睡眠時間を増やすことを心がけましょう。では、睡眠時間が短い、とはどのくらいからを指すのでしょうか?ここからは一般的な指標から個人差も鑑みたチェック方法もご紹介します。

年代ごとに異なる、最適な睡眠時間とは?

何を基準に睡眠時間の最適解は決まっているか?

それでは一般的な睡眠時間の推奨時間を説明します。これは年代によってもかなり異なるので、自分の該当する年代の推奨睡眠時間を参考にしてください。米国国立睡眠財団が提唱している推奨睡眠時間をベースとしています。※1)

年齢別の推奨睡眠時間
年齢区分 推奨睡眠時間
0〜3ヶ月 14〜17時間
4〜11ヶ月 12〜15時間
1〜2歳 11〜14時間
3〜5歳 10〜13時間
6〜13歳 9〜11時間
14〜17歳 8〜10時間
18〜25歳 7〜9時間
26〜64歳 7〜9時間
65歳〜 7〜8時間

世界と日本での異なる基準値を確認しましょう。

日本では、厚生労働省が発表している健康づくりのための睡眠ガイド2023をベースに考えると良いでしょう。睡眠ガイドを参照すると、基本的には米国国立睡眠財団の提唱と変わりませんが、少し幅を持たせているようにも思えます。※2)

アメリカ睡眠財団法人の推奨する成人の睡眠時間は7時間〜9時間とされていますが、睡眠ガイドでは最低6時間の確保をしましょうと記載があります。社会的な背景も鑑みて作成されているので、日本は日本の基準を参考に、自分の睡眠時間と照らし合わせて良いかと思いますが、あくまで最低6時間であり、6時間で十分とは言い切れないということは理解しておきましょう。

現時点での日本の平均睡眠時間はどのくらい?

日本は世界各国と比べてみても睡眠時間が短い「不眠大国」として知られています。OECDの調査は様々なメディアで取り上げられることがありますが、日本の睡眠時間は「7時間22分」と報告されており、対象国で一番短い時間を示しています。この調査は世界各国でも調査方法が統一されていないことなどの課題もありますが、感覚的にも7時間22分の平均時間を見て「意外と多いのでは?」と思った方も少なくないでしょう。※3)

別の報告では調査方法を統一させて2022年に発表されています。この調査ではスマホゲームのユーザーに対する平均睡眠時間を自己申告で回答から調査したものであり、国や年齢でサンプルの偏り自体はあるものの、日本はOECDの調査同様に睡眠時間は世界で一番短いとされています。睡眠時間は主観的な申告によるものであり、これは客観的な指標と乖離が出てくるものなので、どこまで参考にするのかは別問題ですが、少なくとも世界的な調査では、日本は世界から見ても睡眠時間が短いと言えるでしょう。※4)

睡眠時間を妨げる社会的な要因とは?

年代によって睡眠を妨げる要因が異なる!

近年の調査によると、30代から50代の男性、40代から50代の女性の約4割が、1日6時間未満の睡眠しか取れていません。そして、これらの問題は年代や性別によって異なる要因がわかっています。社会的な課題であり、自分だけではどうにもならないような外的要因もあれば、実は改善できるかもしれないような内的要因もあります。※5)

一番多いのは30代〜50代男性、50代女性の「仕事が原因」ですが、別の項目がある年代を少し見てみましょう。

20代はスマホ、おそらく若年層はかなり影響大!

20代は男女問わず、スマートフォンの利用が睡眠を妨げる要因と指摘されています。これは重要な課題でスマートフォンと一概に言ってもスマートフォンでどのようなことをしているかによっても細分化されていきます。この調査ではそこまでの調査はしていませんが、SNSを閲覧している、動画コンテンツで好きな動画や映画、ドラマを見ている。ショート動画に時間を費やしている、ライブ配信を見ている、といったコンテンツ消費系。友達や恋人と遅くまで通話をしている、寝る直前までメッセージのやり取りをしていると言ったコミュニケーション系。ネットショップやインフルエンサーの紹介、画像検索などで欲しいものを漁るウィンドウショッピング系など、用途は様々です。

報酬系を刺激するコンテンツは注意

この問題は指摘で簡単に治るようなものではなく、「寝る前のスマートフォンは睡眠によくない」ということは誰しも聞いたことがあるのにも関わらず、ほとんどの人がこれを実行できないということがあります。これはシンプルにスマートフォンの利用が睡眠の優先度よりも高い状態だからです。また、この報酬系を刺激するスマートフォンのアプリケーションの仕組みはそう簡単に離脱できない「悪魔の仕組み」となっています。

現代人の睡眠優先度
スマホ利用
睡眠

多くの人がスマートフォンの利用を睡眠よりも優先してしまう傾向があります。
寝る前のスマホ使用は睡眠の質を低下させる要因となります。

⚠️ 本来は「睡眠 > スマホ利用」であるべきです

注意が必要なのは自分の意思で新たなコンテンツを取得するようなショート動画系です。映画を見ていたら寝落ちしていた。というパターンよりも自らのスクロールで新しいコンテンツが取得できることにより報酬系が刺激されより覚醒してしまいます。すぐにスマートフォンの利用がやめられない方でも、注意すべきコンテンツだけは覚えておきましょう。

30代〜40代の女性は家事育児に注力、周囲の協力が不可欠。

働き世代の女性は、仕事に加えて家事・育児の時間が睡眠を圧迫している傾向が見られます。本来であれば男性も含め家族が協力して分担することが理想的ではありますが、現時点では、まだ浸透しきっていない部分もあるのではないでしょうか。家事・育児に加えて介護など、家庭内の事情により睡眠時間が圧迫される要因が増えてきてしまうと、より睡眠時間が短縮されてしまうだけでなく、ストレス要因にもなり他の睡眠問題にも影響を及ぼしてしまう可能性が出てきます。

これは周囲の協力が不可欠であり、そのためにも自身が睡眠が十分に取れているか、また周囲も睡眠が十分に取れているかに目を向けてあげることが大切です。そしてその睡眠時間を圧迫している要因は何かを一緒に考えてあげることも重要です。

最適な睡眠時間の見つけ方!これで睡眠不足に悩まされない!

睡眠時間の推奨や、現代の課題、圧迫要因などを解説しましたが、冒頭でもあるように睡眠時間はあくまで推奨であり、実際に必要睡眠時間には個人差があります。これは、必要な時間が異なることや睡眠不足に耐性があるかなども関係してきます。自分自身にあった睡眠時間が取れているか、どれくらい必要かの具体的な確認方法を解説します。また、この方法に加えて、3つのポイントと1つの注意点を説明します。これらを抑えた上で、自分の最適な睡眠時間を確認してみてください。

連続してたくさん寝てみる

必要な睡眠時間の把握の方法としては、先ほども示したように3日〜4日程度、体内時計が乱れない程度にできる限りたくさん寝てみるというのが具体的な方法としてあげられます。

睡眠不足が蓄積されていると、当然初日は普段より長く寝てしまい、日にちが経過するごとに少しずつ落ち着いてきます。スムーズに普段通りの時間に寝付けた後、アラームをかけずに起きれた時間が必要な睡眠時間です。これを3日〜4日間、可能であればなるべく長期間続けてみると、自分の必要な睡眠時間が判別できます。ポイントは数日かけて行うこと、アラームなど睡眠を妨げる、または起床を誘導させるものは除外すること、1日中長く寝過ぎて昼夜逆転するようなことは避けること、を要点として抑えて実行しましょう。その上でこれから説明する3つのポイントと1つの注意点を抑えてみてください。

起床時にしっかりと熟睡感があるか

まずは朝起きた時の熟睡感に焦点を当ててみてください。その日の睡眠でどれだけ身体が休まった感覚があるかどうかがポイントです。これは睡眠休養感とも呼ばれており、主観的な睡眠の質の指標としても扱うことができます。十分な睡眠かどうかはその休養感にフォーカスしつつ、起床時の気分なども同時に確認すると良いでしょう。起床時気分に関する記事もこちらからご覧ください。

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日中に眠くなる頻度や強さが正常の範囲か

起床時ともう一つは、日中の眠気にフォーカスをする必要があります。もちろん日中の眠気には生理学的な要因や環境要因も含めて複合的に発生するものもありますが、少しシンプルに睡眠に不足がない状態であれば、眠気は少なく、覚醒できているものと考えてください。

これが眠気を感じる時間が多い、頻繁に眠気を感じる、実際に寝落ちしてしまうことが多い場合は睡眠不足を疑うことが重要です。

また、これが慢性化してしまうと自分では気が付かないということが出てきます。眠いとは感じていなくてもパフォーマンスに影響が出てしまい、一瞬眠りに落ちてしまうマイクロスリープなどが発生してしまいます。これらの症状が出ないかどうかも睡眠が十分かどうかの確認するポイントになります。

緑ベース参考文献バナー このような測定も!

入眠はスムーズではあるが、寝落ちにような状態ではないか

十分な睡眠時間かどうかは、スムーズな寝つきかどうかでも確認することが重要です。寝つき時間は通常10分〜20分程度の時間を必要としますが、これが長すぎると不眠の傾向があると考えられます。一方ですぐに寝落ちしてしまう習慣は、困る必要はなく悩み自体も少ないことが多いですが、理想の睡眠時間を確保できているかの確認という意味では少し睡眠不足の傾向があると考えても良いかもしれません。熟睡感や日中の眠気に合わせて、この入眠時間も一つの指標として考えましょう。

注意点:1日だけで考えてはいけない

「たくさん寝た方が眠い!」と言う方がたまにいらっしゃいます。これは睡眠不足を返そうと長く寝たことにより、隠れた眠気が表出していることや、長く寝過ぎたことにより体内時計が乱れてしまうことが原因として考えられます。ポイントは1日だけたくさん寝ただけでは睡眠不足は解消できず、自分の必要な睡眠時間はわからないということです・1日だけで判断せずに最低3~4日は体内時計が乱れないように十分な睡眠を心がけ、実際にどのくらいの睡眠が必要かどうかを確認してみましょう。

睡眠にも重要な人生の”優先順位付け”

睡眠ファースト!とはいかないのが「生活」

ここまで説明した通り、睡眠時間は良い睡眠のとって一番と言っていいほど重要なファクターです。しかし、当たり前ですが睡眠中は自分の意図するような活動ができません。睡眠時間が増えることで自ずと活動する時間が減ってしまいます。あれもやりたい、これもやりたいという方はあまり都合の良いことではありません。睡眠を大切にしつつ、睡眠を人生の優先度の一番上に持ってくるというのは無理があります。そこで大切なのは優先順位付けです。まずはこの睡眠の重要性を理解した上で、現時点での睡眠の優先度が人生のどのあたりにあるのか、生活のどの順位にあるのかを把握してみましょう。

睡眠の優先順位を少しずつ上げていこう

一気に変えるのは難しい。でも、一歩ずつなら可能です

仕事
家族
趣味
SNS・娯楽
睡眠
目標

重要視しつつ、一つでも優先度を上げることが大切

ポイントは一つだけでも優先度をあげる部分です。見直してみると実は生活の中では睡眠より上に置いていた、なんでもない行動があることも出てきます。睡眠の重要性を理解しつつ、その行動よりも睡眠時間の確保のほうがコスパが良いことは十分にあります。

難しいからと効率や短時間で質の良い、を求めない。

ここが一番の注意点です。睡眠時間を確保することは現代社会での難易度は高く、前述の通り都合の良いものではありません。すると「短い時間でも効率的な睡眠を!」「短くて質の良い睡眠を心がけよう!」という発想になりがちです。睡眠の質は大切ですが、そもそも十分な睡眠時間そのものが質の良い睡眠の条件になります。睡眠時間は質で代替できるものではないので注意をしましょう。

必要な睡眠時間を「知る」そして「確保する」!

「必要な睡眠時間はどのくらい?」と聞かれて、あなたは即答できますか?実は、必要とされる睡眠時間は人それぞれですが、日本人の多くは慢性的な睡眠不足に陥っているのが現状です。通勤中の居眠りや、夜のスマホ利用、そして仕事や家事、育児といった社会的要因が睡眠時間を削り、質の低い睡眠に繋がっています。「寝床にいる時間=眠っている時間」ではありません。 就床時間(ベッドにいる時間)が長くても、なかなか寝付けなかったり、夜中に何度も目が覚めたりすれば、それは「睡眠時間」としてカウントされず、睡眠効率の低下を招きます。良質な睡眠は、この「睡眠効率」を意識し、短時間でも熟睡感を得ることが重要です。しかし「短い睡眠時間で質の良い睡眠を」という発想には注意が必要です。 睡眠時間は「質」で代替できるものではありません。まずは自分にとって最適な睡眠時間を知ることから始めましょう。3〜4日、アラームをかけずに自然に目が覚めるまで寝てみることで、自分の適切な睡眠時間がわかります。

今日からできる小さな改善を重ね、睡眠の優先度を少しずつ上げていきましょう。日中の眠気や疲れを当たり前と思わず、自分の睡眠と向き合うことが、健康な毎日を送るための第一歩です。

参考文献
1)Hirshkowitz et al., 2015, Sleep Health.
2)厚生労働省 2024 健康づくりのための睡眠ガイド2023
3)OECD, 2021, Gender Data Portal.
4)Coutrot A et al ,2022 Nature Communications
5)厚生労働省 2019 令和元年国民健康・栄養調査報告